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同人、マンガ、アニメを中心にオタク文化とデザインの関係性を探ります。
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17_ ぷちえゔぁとか  本業の方でイラスト描きまくりなので趣向を変えて写真その2。




「わたおに」がオタク業界を変えた!
といえば言いすぎなのかもしれません。
それでも、自分にとってはそれほどまでの衝撃。
と、前回は里見さんのデザインの特徴から「わたおに」の
デザインについて書いていきましたが、今回はその続き。


さてさて、その自分が大層衝撃を受けた「週間わたしのおにいちゃん」
(以下「わたおに」)について、前回はロゴデザインに関して触れましたが、
今回はフィギュアとセットになっているブックレットについての話からです。


まずはじめに造本設計に関してですが、サイズはパッケージに
合わせたA5サイズで32ページ(増刊号は48ページ)のくるみ製本。
ページ数の少なさをカバーし、本として成り立たせるため、
厚さがあり束のでる、かつ風合いのある多少ザラザラとした紙を使用。
それにより通常のマンガとは違う、フルカラーの新しい
読み物としての形を作り出しています。
ちなみに表紙の紙は恐らくパッケージの方の紙と一緒。


それと増刊号の紙に関しては、本のコンセプトが他と多少異なっており、
パッケージから光沢のある紙を使用、本の紙にも滑らかな紙を、
そしてページ数の増加に合わせ薄い紙を使用しており、
ちなみに発色もよいですよ。

さて本の中の話に入っていきますと、増刊号の話ばかりになってしまいますが、
増刊号での「まとちゃん」のデザインはすごくよいです。
まず扉のデザイン、これは里見さんというわけではないんですが
作者の結城信一さんのイラストの構図がよいのと
それを生かすような里見さんのレイアウトが、ラストとなる
増刊号では最もバランスのよい仕上がりになっています。


それとこれは増刊号だけの話ではありませんが、
4コマのタイトルが明朝体なのも秀逸!
さらにさりげなく背景には薄く色が敷かれ、
コマの輪郭線の色も完全な黒ではなく、茶系の色が使われており
細部まで世界感造りに手が込められています。


さて、次は個人的にですが、気に入ったキャッチコピーを2つほどご紹介。
なんかホントに増刊号の話ばかりであれですが、
増刊号の始めの、ばらスィーさんの見開きイラストでの
「もうすこしだけ、ここにいてもいい?」にはものすごくグッときましたよ!
意識的に「すこし」の部分を漢字にしないのもさすが。


もう一つは増刊号での「わたおにができるまで1」にて
ワンフェス2003冬のカタログに掲載された広告での
「お兄ちゃん、迎撃準備完了。」で、実際これはイラストも
見ないと中々説明しづらいですが、このころはまだ商品の概要自体
明かされておらず、この広告でもそういった詳細は一切控え、
受け手の好奇心を煽るディザー広告という手法がとられています。
今ではかなり当たり前にように使われる手法ですが、
里見さんもやはり広告関係の知識はかなりあるのかも知れません。


まだまだ中身のお話ですが、この本でなんと言っても注目すべきは
里見さんの文章。恐らくここまで里見さんの文章を読める本も
そうそうないのでは、というくらいのテキストの多さ。
単純に一個人としてコラムなどは、ホントに楽しく読ませていただきました。
それと同時に里見さんがタテ組みの本をデザインするとスゴイと改めて実感。
ここまでやってくれますかっていうくらいに組んでくれます。


それと最後になりましたが、本を最後の最後まで楽しめる
里見さんらしさとして、奥付のデザインもこれまたビックリ!
まず2巻などはコンセプトにある「妹」という年齢に合わせ、
なんとスタッフや会社名などをことごとく全て平仮名で表記してみたり、
増刊号では、奥付の全てのテキストを決まった横幅で字割りをし、
「どれだけレタースペーシングとってんだ」と、
ついつい突っ込みたくなるようなデザインがなされており、
こういったところまでサービス精神が行き届く、
里見さんのデザインの奥深さを感じました。


さて、後半戦は里見さんの最も代表的な仕事と言うべき
「よつばと!」に関して書いていきましょう。
まず、ちょうど一ヶ月くらい前の話になりますが、
よつばスタジオが以前から進めていたよつばと立体化計画
「よつばとリボルテック」とコミックス7巻が同時に発売されました。
この大きなプロジェクトに伴い、各オタク関連の書店などで
さまざまな広告展開が行われていました。


まず、とらのあなさんなどで見かけた通常サイズの店頭ポスター、
他にも掲示場所が限定されない縦長サイズの小ポスター、
そして店頭ツールとして、「よつばと!」の受賞した賞の数々が
書かれた店頭POP。(これは確か以前から有り)
さらに最新刊である7巻を置くためのディスプレイ台まで制作。
キャッチコピーには確か「あっ、よつばのあたらしいのでてるじゃん!」
と書いてあったような気がします。
恐らくはこれもデザインは里見さん。


話は「よつばとリボルテック」の方にいきますが、
最近秋葉原に行った際に初めて「よつばとリボルテック」を
見たんですが、パッケージを見てまずビックリ!
パッケージにコミックスと同じクラフト系の紙のオビが付いていました。
フィギュアのパッケージにオビ付けるなんて、毎度毎度驚かせてくれます。


さて最後にコミックスのお話も少し。
自分は昔先輩のエディトリアルデザイナーの方に
「本はデザイナーが印刷にしっかりと関わっている初版以外買うな!」と
言われて以来、絶対ではないのですが、なるべく初版を
買うようにはしており、「よつばと!」に関しても
もう発売してしまった最初に方の巻を「オビ付き初版」という
厳しい条件の中で必死に探し全巻揃えました。


そういった繋がりで最近のやつですが、6巻の初版のオビには
コミックス6巻とそのころ発売された絵本とCDをすべて買った人に
ミニ画集をプレゼントするという告知が書かれているのですが、
オビの折りの部分、つまりは表3部分を見てみると、よつばが
プレゼントを持った絵があり、その下に注意書きとして
「プレゼントはこんなに大きくありません。」と書いてあります。
しかしこういったところまでホントに芸が細かいのが里見さん。


話は変わって7巻のデザインで注目したいのは44話
「ねつ」の65ページ部分、よつばが「ぼくじょう」と駄々をこねる部分。
実際自分はコミックの装丁をした経験がないので、
ここに関して里見さんが関わっているのか何とも言えないんですが、
以前発売された「コミックファウスト」というコミック雑誌は
通常のコミック雑誌以上にマンガの内容や見せ方を反映した
フォント選びに力を入れたそうで、この「よつばと!」7巻65ページでも
そういった、文字を使ったおもしろい試みがなされています。


説明しますと「ねつ」のせいで牧場にいけなくなったよつばが、
とーちゃんに必死に駄々をこねるのですが、
その激しい感情、声、音量などの要素を「ぼくじょう」という文字の
サイズを大きくして並べ、フキダシに収まらないほどに
太ゴシックで埋め尽くすことで、
その要素をフキダシの中だけで見事に表現しています。
これには本当に日本が誇るマンガの可能性を感じました。
関係ないですがしまうーさんすごいいいキャラで好きです。


さて今回も「里見さん特集」として書いてきましたが、
やたらと長い文章お読みいただきありがとうございます。
さてさて気づいてみると、印刷所への入稿のことを考えれば
いよいよ冬コミでの評論本の締め切りまで2ヶ月もないんですが、
とりあえずそれに伴って、ここから冬コミまでは
放置してしまっているサイトの方に何とか手を付けて、
そちらの方で本格的に運営していきたいと思います。
ですので近いうちにコッチのブログで告知しますので
よろしくお願いします。
次回は評論本の進行状況やら小話などで書いていきたいと思います。
あと「クラナド」がおもしろいのでその話も!
ではまた。

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