同人、マンガ、アニメを中心にオタク文化とデザインの関係性を探ります。
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16_ わたおにとか 本業の方でイラスト描きまくりなので今回は趣向を変えて写真。
お待たせしました!今回は長くなりそうな予感がひしひしと
伝わってきますので、ささっと始めたいと思いますよ。
それにしても写真ヒドいですね、次はもっとまともに撮ります…
さて前回も告知したとおり、今回はよつばスタジオ代表、
そして数々のオタク関連のデザインワークスを手掛ける
「里見英樹さん特集」でいろいろと書いていきたいと思います。
まずはじめに、里見英樹さんのデザインの特徴について話していきましょう。
里見さんといえば「よつばと!」のコミックをはじめとする
総合的なデザインを手掛けていることでおなじみですが、
ここ最近ではかなりの数のオタク関連のコミック装丁も手掛けています。
ここで「よつばと!」以外の、つまりは他の出版社の
コミックに関して里見さんのデザインの特徴として挙げられるのが、
「自分の色を出しすぎない」ということ。
これは「よつばと!」や「週間わたしのおにいちゃん」
などで見られる里見さんのデザインの特徴を
こういった他の出版社の仕事ではあえて控え、
そのマンガの魅力を最大限に引き出し、
表紙を見ただけでもコンセプトが明確に消費者に伝わる
デザインがなされているということです。
逆に言ってしまえばそれが里見さんのデザインの特徴でもあり、
こういったことが意図的にできる、つまりは
「自分の色を出しすぎない」ことができるのは
当たり前であって、もっとも難しいところでもあり、
結論として単純に、やはりスゴイ方です。
さて、里見さんのデザインの特徴として次に挙げられるのが
「文字へのこだわり」です。
これは言うまでもなく、さまざまな里見さん関係の書籍を
見ていただければ分かるように、普段オタク関連の雑誌では
使われないようなフォントを巧みなデザインにより使用したりと、
そのマンガのコンセプトを最も反映したフォントの選び方も
素晴らしいものがあります。
その文字へのこだわりもさることながら、里見さんのデザインで
最も注目すべきはやはり「キャッチコピー」です。
この里見さんのコピーのセンスにはいつも驚かされるのですが、
それにも増してその量もすごい。
いたるところにコピーが並び、そのどれもがおもしろく、頭に残る!
これほどまでにコピーを多様するオタク関連の
デザイナーさんは中々いないでしょう。
余談ですが「オタデザ」の染谷さんも里見さんとは違った視点で
さまざまなコピーを使用されていますが「ふうきたん」の広告に
見られるキャッチコピーなどもかなり関心させられますよ。
さて、その里見さんの「キャッチコピー」に関しての例として
「苺ましまろ」のコミックスを挙げてみたいと思います。
まずこの「苺ましまろ」のキャッチコピーとして最も有名なのが
「かわいいは正義」ですが、以前の記事でも書いたように5巻のオビでは
このコピーを「Futura」というフォントを使い表記し、かなり驚かされました。
ただこの「苺ましまろ」のキャッチコピーのすごいのは
オビの部分だけでなく、巻末にある電撃大王の広告でも
里見さんの天才コピーライターぶりが発揮されています。
-以下が巻末でのキャッチコピーになります-
(コミックをお持ちであれば、そちらをご覧頂いた方が分かりやすいです)
■「苺ましまろ」好評連載ちゅう。(1巻)
■「苺ましまろ」好評連載中!
君のハートをキャッチ&リリース!!(2巻)
■「苺ましまろ」好評連載中!ほかにもいろいろ連載中!!(3巻)
■「苺ましまろ」ほんのりと連載中。(4巻)
■「苺ましまろ」好評連載中♥ホ、ホントだよっ!
ノークレーム、ノーリターン。(5巻)
(実際にコミックスを見ていただけると分かりますが、
5巻以外の全てのテキストはタテ組みで明朝体が使われています)
さて、一見このように共通してどの巻も「苺ましまろ」の連載を
告知するものなんですが、その巻ごとに少しづつ変化が
付けられているのが里見さんのすごいところ。
例をあげますと、2巻でのコピーは「ばらスィー」さんの扉絵とリンクしており、
かつ「苺ましまろ」のコンセプトである「ゆるゆる感」を
「キャッチ&リリース!!」という言葉で表しています。
これはホントに里見さんのセンスが光りますね。
そして本当にスゴイのはここからで、4巻ではこのころから現れ始めた
電撃大王誌上での「苺ましまろ」の休載の多さを「ほんのりと連載中。」
というコピーを使い、ニュアンス的に伝えています。
さらに5巻では、いよいよ本格的に多くなってきた「苺ましまろ」の
休載をあえて自虐的かつプラス方面へとキャッチコピーに取り込み、
■「苺ましまろ」好評連載中♥ホ、ホントだよっ!
ノークレーム、ノーリターン。(5巻)
というようなコピーを付けデザインに落とし込みました。
自分はこのコピーを見たときにはついつい笑ってしまいましたが、
それこそが里見さんの狙いであり、やはりさすがだなと実感するばかりです。
それと以前見かけた「あずまんが大王」の巻末ページにも
趣向をこらしたコピーとデザインが成されていたと思うのですが、
どうにも思い出せないので、次の時までに調べておくことにします。
申し訳ありません!
さて話を戻しまして、「かんなぎ」や「日常」、「ゆるめいつ」など
最近かなりの数の里見さんが装丁を手掛けるコミックが
市場を賑わせていますが、それに関して個人的にですが感じた事が
ありまして、当然のごとく里見さんがデザインを手掛ける
コミックはどれも素晴らしいクオリティなのですが、
ごくまれに、里見さんの表紙のデザインのクオリティが高すぎるあまり、
中身のコミックとのギャップに少し戸惑ってしまうことがありました。
これは里見さんが手掛けたものではないのですが、例を挙げると
以前自分が書店でひと目見て、表紙のデザインの良さで
買ってしまった「神様ドォルズ」というコミックがありまして、
帰って読んでみて、表紙と中とのギャップにかなり驚かされました。
つまりはそれだけデザイナーの力が強かったということで、
実際表紙のイラストに関しても、カバーの袖(中の折り返し部分)
に恐らくは漫画家さんが塗りまでをしたフルカラーの同様のイラストが
描かれており、表紙に関しては線画のみでロゴや配色など
トータルなものはデザイナーさんが担当したのだと思います。
ただ里見さんの方も含め、こういったケースはそれなりにまれな事ですが、
デザイナーが自分にあったやりたい仕事を全て選択できない以上、
中々難しい問題ではあるかもしれません。
その前にこんな事を気にしているのは、
自分だけかも知れないのでどうとも言えませんが。
と、なんとなく自分勝手な訳の分からない方向に
話がそれてしまい申し訳ありません。
ただ一応これは前フリでして、そういった出版社からの仕事ではなく、
里見さん自身のデザインが前面に表れ、
里見さんが企画から編集までを総合的に手掛けたのが
「週間わたしのおにいちゃん」(以下「わたおに」)です。
一応補足しておきますと、この「わたおに」は2002年の企画発表から始まり、
2004年に「週間」の名の通り5号+増刊号の計6つを毎週発売した、
海洋堂制作のフィギュア+ブックレットのパッケージ商品です。
そして当時この「わたおに」がオタク文化に与えた影響は
かなりのもので、同人方面などでは数々のパロディ同人誌や
同じくフィギュア付きのパッケージ物などが同人市場を賑わせました。
さて、ここからはその「わたおに」のデザインについてですが、
まず、全体の事から話していきますと、やはり一番注目すべきは
その「ロゴタイプ」で、これは先ほど書いたパロディ系の同人誌でも
当然似せてデザインされているのですが、やはり本家本元の
里見さんのロゴのクオイティはダントツに高いものです。
特に増刊号でのロゴの組などは、狙いすましたかのような計算された
つくりで、初目撃の際はかなり驚かされましたよ。
そしてこのロゴのスゴイところは、そのとことん細部まで
計算されたつくりにあるといってもいいと思います。
細かく説明しますと、パッケージに対してキッチリ収まるように
計算されたつくり、かつ当然イラストがメインであることを
なにより重点に置き、主張しすぎない縦長のサイズをとっており、
より驚くべきはパッケージの側面、つまり縦置きした際にも
ロゴとしてしっかりと機能し、なおかつパッケージ表面の
ロゴと全くサイズが変わらないところがスゴイ!
つまりはあらかじめ両面を生かすようデザインされた
ロゴタイプであるということ。
個人的には里見さん作品の中でこのロゴ(特に増刊号)は
かなり好きなんですが、マニアックな話をすれば
「週間」のとこの出来なんか秀逸すぎですよ!
さて、ここまで書いてきましたが、今回も一回で書ききるつもりが
予想以上に長くなってしまいましたので次回は
「里見英樹のデザイン」後編ということで「わたおに」の
デザインの続きや「よつばと」の広告展開などのお話を
したいと思います。
とにもかくにも今回も果てしなく長い文章、お読みいただきありがとうございます。
次回は早い内にアップできると思いますのでしばしお待ちください!
ではまた。
里見さんといえば「よつばと!」のコミックをはじめとする
総合的なデザインを手掛けていることでおなじみですが、
ここ最近ではかなりの数のオタク関連のコミック装丁も手掛けています。
ここで「よつばと!」以外の、つまりは他の出版社の
コミックに関して里見さんのデザインの特徴として挙げられるのが、
「自分の色を出しすぎない」ということ。
これは「よつばと!」や「週間わたしのおにいちゃん」
などで見られる里見さんのデザインの特徴を
こういった他の出版社の仕事ではあえて控え、
そのマンガの魅力を最大限に引き出し、
表紙を見ただけでもコンセプトが明確に消費者に伝わる
デザインがなされているということです。
逆に言ってしまえばそれが里見さんのデザインの特徴でもあり、
こういったことが意図的にできる、つまりは
「自分の色を出しすぎない」ことができるのは
当たり前であって、もっとも難しいところでもあり、
結論として単純に、やはりスゴイ方です。
さて、里見さんのデザインの特徴として次に挙げられるのが
「文字へのこだわり」です。
これは言うまでもなく、さまざまな里見さん関係の書籍を
見ていただければ分かるように、普段オタク関連の雑誌では
使われないようなフォントを巧みなデザインにより使用したりと、
そのマンガのコンセプトを最も反映したフォントの選び方も
素晴らしいものがあります。
その文字へのこだわりもさることながら、里見さんのデザインで
最も注目すべきはやはり「キャッチコピー」です。
この里見さんのコピーのセンスにはいつも驚かされるのですが、
それにも増してその量もすごい。
いたるところにコピーが並び、そのどれもがおもしろく、頭に残る!
これほどまでにコピーを多様するオタク関連の
デザイナーさんは中々いないでしょう。
余談ですが「オタデザ」の染谷さんも里見さんとは違った視点で
さまざまなコピーを使用されていますが「ふうきたん」の広告に
見られるキャッチコピーなどもかなり関心させられますよ。
さて、その里見さんの「キャッチコピー」に関しての例として
「苺ましまろ」のコミックスを挙げてみたいと思います。
まずこの「苺ましまろ」のキャッチコピーとして最も有名なのが
「かわいいは正義」ですが、以前の記事でも書いたように5巻のオビでは
このコピーを「Futura」というフォントを使い表記し、かなり驚かされました。
ただこの「苺ましまろ」のキャッチコピーのすごいのは
オビの部分だけでなく、巻末にある電撃大王の広告でも
里見さんの天才コピーライターぶりが発揮されています。
-以下が巻末でのキャッチコピーになります-
(コミックをお持ちであれば、そちらをご覧頂いた方が分かりやすいです)
■「苺ましまろ」好評連載ちゅう。(1巻)
■「苺ましまろ」好評連載中!
君のハートをキャッチ&リリース!!(2巻)
■「苺ましまろ」好評連載中!ほかにもいろいろ連載中!!(3巻)
■「苺ましまろ」ほんのりと連載中。(4巻)
■「苺ましまろ」好評連載中♥ホ、ホントだよっ!
ノークレーム、ノーリターン。(5巻)
(実際にコミックスを見ていただけると分かりますが、
5巻以外の全てのテキストはタテ組みで明朝体が使われています)
さて、一見このように共通してどの巻も「苺ましまろ」の連載を
告知するものなんですが、その巻ごとに少しづつ変化が
付けられているのが里見さんのすごいところ。
例をあげますと、2巻でのコピーは「ばらスィー」さんの扉絵とリンクしており、
かつ「苺ましまろ」のコンセプトである「ゆるゆる感」を
「キャッチ&リリース!!」という言葉で表しています。
これはホントに里見さんのセンスが光りますね。
そして本当にスゴイのはここからで、4巻ではこのころから現れ始めた
電撃大王誌上での「苺ましまろ」の休載の多さを「ほんのりと連載中。」
というコピーを使い、ニュアンス的に伝えています。
さらに5巻では、いよいよ本格的に多くなってきた「苺ましまろ」の
休載をあえて自虐的かつプラス方面へとキャッチコピーに取り込み、
■「苺ましまろ」好評連載中♥ホ、ホントだよっ!
ノークレーム、ノーリターン。(5巻)
というようなコピーを付けデザインに落とし込みました。
自分はこのコピーを見たときにはついつい笑ってしまいましたが、
それこそが里見さんの狙いであり、やはりさすがだなと実感するばかりです。
それと以前見かけた「あずまんが大王」の巻末ページにも
趣向をこらしたコピーとデザインが成されていたと思うのですが、
どうにも思い出せないので、次の時までに調べておくことにします。
申し訳ありません!
さて話を戻しまして、「かんなぎ」や「日常」、「ゆるめいつ」など
最近かなりの数の里見さんが装丁を手掛けるコミックが
市場を賑わせていますが、それに関して個人的にですが感じた事が
ありまして、当然のごとく里見さんがデザインを手掛ける
コミックはどれも素晴らしいクオリティなのですが、
ごくまれに、里見さんの表紙のデザインのクオリティが高すぎるあまり、
中身のコミックとのギャップに少し戸惑ってしまうことがありました。
これは里見さんが手掛けたものではないのですが、例を挙げると
以前自分が書店でひと目見て、表紙のデザインの良さで
買ってしまった「神様ドォルズ」というコミックがありまして、
帰って読んでみて、表紙と中とのギャップにかなり驚かされました。
つまりはそれだけデザイナーの力が強かったということで、
実際表紙のイラストに関しても、カバーの袖(中の折り返し部分)
に恐らくは漫画家さんが塗りまでをしたフルカラーの同様のイラストが
描かれており、表紙に関しては線画のみでロゴや配色など
トータルなものはデザイナーさんが担当したのだと思います。
ただ里見さんの方も含め、こういったケースはそれなりにまれな事ですが、
デザイナーが自分にあったやりたい仕事を全て選択できない以上、
中々難しい問題ではあるかもしれません。
その前にこんな事を気にしているのは、
自分だけかも知れないのでどうとも言えませんが。
と、なんとなく自分勝手な訳の分からない方向に
話がそれてしまい申し訳ありません。
ただ一応これは前フリでして、そういった出版社からの仕事ではなく、
里見さん自身のデザインが前面に表れ、
里見さんが企画から編集までを総合的に手掛けたのが
「週間わたしのおにいちゃん」(以下「わたおに」)です。
一応補足しておきますと、この「わたおに」は2002年の企画発表から始まり、
2004年に「週間」の名の通り5号+増刊号の計6つを毎週発売した、
海洋堂制作のフィギュア+ブックレットのパッケージ商品です。
そして当時この「わたおに」がオタク文化に与えた影響は
かなりのもので、同人方面などでは数々のパロディ同人誌や
同じくフィギュア付きのパッケージ物などが同人市場を賑わせました。
さて、ここからはその「わたおに」のデザインについてですが、
まず、全体の事から話していきますと、やはり一番注目すべきは
その「ロゴタイプ」で、これは先ほど書いたパロディ系の同人誌でも
当然似せてデザインされているのですが、やはり本家本元の
里見さんのロゴのクオイティはダントツに高いものです。
特に増刊号でのロゴの組などは、狙いすましたかのような計算された
つくりで、初目撃の際はかなり驚かされましたよ。
そしてこのロゴのスゴイところは、そのとことん細部まで
計算されたつくりにあるといってもいいと思います。
細かく説明しますと、パッケージに対してキッチリ収まるように
計算されたつくり、かつ当然イラストがメインであることを
なにより重点に置き、主張しすぎない縦長のサイズをとっており、
より驚くべきはパッケージの側面、つまり縦置きした際にも
ロゴとしてしっかりと機能し、なおかつパッケージ表面の
ロゴと全くサイズが変わらないところがスゴイ!
つまりはあらかじめ両面を生かすようデザインされた
ロゴタイプであるということ。
個人的には里見さん作品の中でこのロゴ(特に増刊号)は
かなり好きなんですが、マニアックな話をすれば
「週間」のとこの出来なんか秀逸すぎですよ!
さて、ここまで書いてきましたが、今回も一回で書ききるつもりが
予想以上に長くなってしまいましたので次回は
「里見英樹のデザイン」後編ということで「わたおに」の
デザインの続きや「よつばと」の広告展開などのお話を
したいと思います。
とにもかくにも今回も果てしなく長い文章、お読みいただきありがとうございます。
次回は早い内にアップできると思いますのでしばしお待ちください!
ではまた。
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